Thursday, April 22
NB Lounge
111 E 56th Street (bet Park and Lex)
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From 7:30 to 11PM
Mamiko Taira (vocal)
Toru Dodo (piano)
No Cover, No Minimum
Saturday, April 24
Miles’ Café
212 E 52nd Street (near 3rd Avenue)
-
From 8PM to 11PM
Mamiko Taira (vocal)
Toru Dodo (piano)
$10 Cover
BYOB+F
過去20年最悪の花粉の季節となった今年、
犬がいる以上、花粉の散布量や天気に関わらず散歩に出るわけで、
加えて、家の傍はマンハッタンで一番大きい公園、
花粉と添い寝しているような住環境。
それでも、四季のある国に生まれた性で、
緑に光る木々を、命短しと狂い咲く花を、
刈りたての芝生の匂いを、
春という春を独占したい衝動に駆られるのは
仕方がない!
と、思うのはワタシだけではないようで…
先週のことだったろうか。
花が満開、文字通り咲き乱れていた週の朝のこと。
眠い目をこすりつつ、iPhoneで今度日本語の歌をうたうんであれば、
どんな曲がいいかな?とボーっと考え事をしながら
犬を連れて、北から南へと公園の中を歩いていた時、
前方から、愛らしいおばあちゃんが歩いてきた。
小柄で、細身で、ハイカラで。
老人の朝は早いと言うが、きっとこのおばあちゃんも
ワタシが未だぐっすり寝ている頃から、目がぱっちり開いていたに違いない。
そう思わせるぐらい、目が大きく開かれて、その頬もほどよくピンクに染まっていた。
そして物事はいつも突然に。
「もう、本当に素敵よね。春はいいわね。
ねえ、そう思わない?」
おばあちゃん、ワタシに話しかけてる?
イヤーフォンを外して相槌を打ってみる。
おばあちゃんは止まらない。
「ゴージャスな色だこと!
ほら、あっちを見て。
ピンクに白に、黄色に。あああああああ!」
「本当ですね。」
「こうして歩いていると、花が全部自分のためにあるような気がしてきて、
木ごと、こう、抱きしめたくなっちゃうのよね。」
その気持ちよくわかるよ、おばあちゃん!
「あははははは、抱きしめてしまったらどうでしょう?
もっと気分が良くなるかもしれないですよ。」
「ふふふ。もしかしたら、この公園は私のものなのかもしれない!」
「では、キレイなお花を見せてくださってどうもありがとうございます。
これからも沢山、自然を楽しませてください。」
「勿論よ!いつでも大歓迎だわ。」
と、おばあちゃんは、ワタシにウィンクしてくれた。
その時の彼女の顔は、完全に森の女王の如く、
何かノーブルな空気を漂わせ、歩き去る後姿は、
別に跳ねているわけではないのに、スキップしているような、
ウキウキしているような、とても軽やかなものに見えた。