タイツくん 哀愁のジャパニーズドリーム(松岡宏行さん著)を読みました。
ワタシは別に取り立てて本を嫌いなわけでもないですが、
本の虫でもありません。
増してや、本の感想文というか、
人様に本をお勧めするような技量は、あまり兼ね備えてないように思います。
感想文というと、どうも学生時代を思い出してしまい、
先生に読んでもらうものといった感が否めず、
つい、カクカクっと四角く、かしこまってしまうのです。
けれど、今日はちょっと真面目に、書いてみます。
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実体験を自分以外の第三者とシェアするというのは、
それなりの覚悟というものが必要で、
極自然に、「自分の切り身」のようなものを、さっと相手に差し出すような、
ありのままを伝えるとなると、「ぐっ」と本気が必要になる。
腹を割って話す、なんて言葉が一番近い、
そんな「ぐっ」だろう。
この本は、そんな至近距離の本だった。
会社設立に至るまでの前段階の時代は、とてもお世辞にも楽しい時代には映らない。
読んでいる自分からしてみれば、実に「ひー、苦しそう!」であり、
無責任にも「がんばれ!」という立場に回ってしまう。
もちろん会社ができてからも、山あり谷ありだ。
でも、その一歩一歩、松岡さんが踏んできたステップ、
選んだステージで、すべて共通しているのは、必ず何かを掴んでいて、
遠回りしていたとしても、次に確実に繋がっていることだ。
世の中、必然というもので、事いう事が繋がっている。
このからくりに気がついた人は、とても強い。
何が大切で、失ってはいけないのか、それでも失ってしまうものもある。
そんな時は、そこからどう動くのか。
仕事だけではなくて、私生活でも、常に選択に迫られ続ける。
その度にフル回転する彼のロジックも、
時を経てどんどん成長し、変化をし続ける。読み進むにつれ、
その変化が読み手の我々の肌で分かるようになってくる。
そして、本が終わるころには不器用そうな、生きることが決して上手そうには見えない、
この本の主人公が、「ああ、この人は生きることにセンスのある人だ」に変わっていた。
あと忘れずに書いておきたいのは、結婚するって、悪くないなって思った。
パートナーを持つという意味で。ワタシはバツ一なので(うひゃー!言った、言った!!)、
結婚に纏わる素敵な面も、苦い面も両方知っているつもりだ。
正直、結婚は、現実として自分の選択にはもう入れる必要がないかな?と思っていたぐらいだった。
でも、本を読んでいたら、なんだか、ここまでがんばれるパートナーが傍にいたら
結婚も可能性として残しておいてもいいかも、と思考が傾いた。
(自分でも、ちょっとびっくりしたんであるが!)
私は、この本を自分が今、一番大切な人にプレゼントした。
彼は、まだこの本を読んでいない(と、思う)。ちゃんと読んでくれるのか、
また、読んだ後彼がどう思うのか正直なところドキドキなのだが、
小さな会社のオーナーとして、またクリエーターとして試行錯誤している彼に、
何かが伝わったらいいな、と思って・・・